誰かと話したいときに
誰かと話したい、という気持ちには、たいてい用件がついてきません。用件が無いことを理由に、自分で自分を止めてしまう人が多いところです。
用件が無いときほど、声を出さない
誰かと話したい、という気持ちには、たいてい用件がついてきません。用事があるときは電話をかけられます。用事が無いときにかけられない。ここでつまずく人が多いところです。
「用も無いのにかけたら悪い」と思うと、受話器は持ち上がりません。相手が家族でも同じです。むしろ近い相手ほど、心配をかけたくないという理由で、かけにくくなります。
そうして一日、口をきかない日ができます。それが何日か続くと、話したい気持ちは残ったまま、声を出すこと自体が重くなっていきます。中身の問題ではなく、口を使っていない期間の長さの問題です。
もうひとつ、じゃまをするものがあります。「これくらいで人の時間を取るのは申し訳ない」という感覚です。困りごとの大きさで、話していいかどうかを決めてしまう。けれども、話を聞く側の窓口は、話の大きさで断る作りにはなっていません。小さい話のほうが多い、という前提で置かれています。
用件が無いことは、かけない理由にはなりません。
この気持ちが強く出る時間帯
誰かと話したくなる時間は、人によってだいたい決まっています。自分の時間帯を知っておくと、そこに開いている窓口を選べます。
- 日が落ちたあと外の音が減って、家の中が静かになるころ。昼のあいだは気にならなかったことが、急に前に出てきます。
- 用事が終わったあとやることが片づいた直後。忙しさで埋めていた時間が空くと、そこに入ってきます。
- 誰かと会った帰り道人と話したあとのほうが強く出ることがあります。話し足りなかった、という形で残ります。
- 休みの日の午後予定が入っていない日。連絡する用事が無い日ほど、静かさが目立ちます。
この時間帯を書き出しておくと、選ぶときの基準になります。夜に強く出る人が、昼だけ開いている窓口を選んでも使いません。開いている時間と、話したくなる時間を合わせるだけで、続き方が変わります。
時間帯だけでなく、季節や曜日で強く出る人もいます。連休のあいだ。年末年始。誰かの命日。分かっているなら、その日が来る前に行き先を決めておくほうが楽です。その日に探しはじめると、探すこと自体が重くなります。
いま取れる手を並べておく
すぐに誰かとつながらなくても、できることはあります。上から順に、というものではありません。その日にできそうなものを一つ選べば足ります。
- 声を出す誰かに向けなくても構いません。新聞や本を、少しだけ声に出して読む。口を動かしておくと、次に人と話すときの立ち上がりが軽くなります。
- 短い連絡を一件だけ送る返事を求めない一行で構いません。用件が無いことを、そのまま書いて送ってしまうほうが早いこともあります。
- お金のかからない窓口にかける公的な窓口や、団体が運営している窓口があります。どこにどんな窓口があるかは無料で話を聞いてもらえる窓口の一覧に置いています。
- お金を払って聞いてもらう用件が無い話を、待たずに、長く聞いてほしいとき。選ぶときに見る場所は話し相手が欲しいときの選び方に書きました。
どれを選んでも、その日の一回で終わりではありません。合わなければ次の日に別のものを試せます。一つ試して駄目だったことを、自分に向いていない証拠だと考えないでください。
この気持ちが出てくる理由は、ひとつではありません。住む場所が変わった、仕事が変わった、家族の形が変わった、体の調子が落ちている。いくつも重なっていることのほうが多く、ひとつに決めても当たりません。理由を突き止めてから話す、という順番にしなくて構いません。先に話して、あとから分かることもあります。
話しはじめが出てこないとき
かける先を決めても、最初の一言が出てこないことがあります。ここは中身を用意しても解けません。用意するのは中身ではなく、入り口の一言です。
「特に用件はないんですが」で構いません。「今日、まだ誰とも話していなくて」でも構いません。この一言を先に決めておくと、そのあとは相手が引き受けます。用件が無いことを最初に言ってしまうほうが、あとが楽です。
話しているあいだ、黙ってしまっても構いません。黙っている時間を急かさない窓口があります。助言はいらない、聞いてほしいだけ、という伝え方は話を聞いてほしいだけのときにまとめました。
用件が無いままかけられる電話を、いま組んでいるところです。入り口は話し相手・愚痴聞きの窓口にあります。まだ開いていないので、開くまでのあいだにできることとして、この読みものを置いています。
この読みものは、答えを出すためのものではありません
ここに書いてあるのは、選ぶときの見どころだけです。どれが正しいかを決めるものではありませんし、医療や法律の助言でもありません。
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